「杜撰」という言葉は、何かをいい加減に扱い、誤りが多い状態を表します。
普段の会話でよく使われる一方で、その正確な意味や使い方を完全に理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、「杜撰」の意味を解説し、正しい使い方を具体的な例文とともに紹介していきます。
「杜撰」の意味と使い方：注意深く理解しよう
【杜撰とは】
文学作品で根拠のない記述をしたり、不正確な内容を示すことを指します。
また、そのような作品自体も「杜撰」と表現されます。
さらに、物事をいい加減に扱うことや、多くの誤りを含む状況も「杜撰」と呼ばれます。
引用元: goo辞書
「杜撰」という言葉の読み方は「ずさん」です。
この語は、宋時代の中国の詩人、杜黙が不規則な詩を多く作ったことに由来します。
「杜」（閉じる、封じる、森、神社の森）と、「撰」（選ぶ、編集する）という文字が組み合わさって名づけられました。
「杜撰」は以下のような意味を持ちます：
– 物事を雑に扱う行為やその状況。
– 誤りや根拠のない内容を含む文学作品や文章。
「杜撰」の正しい使い方と具体的な例文
「杜撰」とは、物事をいい加減に扱った結果、誤りや問題が目立つ状況を表す言葉です。
不適切に使うと、本来の意図が伝わらず、相手を不快にさせる可能性があるため、正しい使い方を例文を通して覚えましょう。
例文①
A子
「彼女が作った資料は杜撰で、よく上司から注意されています。」
例文②
B男
「その事故は、会社の杜撰な管理が原因だと思います。」
例文③
C子
「今回のトラブルは、私の不適切な対応が原因です。お詫びいたします。」
例文④
B子
「部下のいい加減な対応がクレームの原因になりました。」
例文⑤
C男
「杜撰な論文は受け付けません。もう一度、しっかりと確認してください。」
【杜撰の使い方のポイント】
「杜撰」は、主に物事のいい加減な取り扱いや、間違いが多い状態を指す際に使います。
人物の性格や特性を評する言葉ではなく、特定の行為や作業に対して使用します。
この言葉は通常、批判的な意味合いを含むため、使う際は注意が必要です。
「杜撰」と類似する表現とその使い分け5選
「杜撰」と同じか類似した意味を持つ言葉を5つご紹介します。
これらを覚えることで、状況に応じた適切な言葉選びができ、コミュニケーションを効果的に行うことが可能になります。
以下の表現を使い分けて、場面や相手に合わせた対応を心がけましょう。
1. 雑
様々な要素が混ざり合い、整理されていない状態。荒っぽい扱いや粗末な取り扱いを意味します。
引用：goo辞書
B子
「私は雑な性格なので、細部にこだわる人とは相性が悪いです。」
2. 無秩序（らんざつ）
整理整頓されていない状態で、乱れが目立つことを表します。
引用：goo辞書
A子
「息子の部屋は常に無秩序で、物があちこちに散らばっています。」
3. いい加減
物事を適当に扱う様子や、手を抜くことを指します。
引用：weblio辞書
B男
「商品をいい加減に扱うのはやめてください。」
4. 適当
必要な手間や注意を省いて行うこと。手短に済ませることを意味します。
引用：goo辞書
B子
「家事は適当に済ませることが時には必要だと思います。」
5. おざなり（等閑）
物事を重要視せず、適当に扱う様子を示します。
引用：weblio辞書
C男
「学生時代は、学業をおざなりにしてはいけません。」
「杜撰」と「雑」の違いについて
「杜撰」と「雑」は類似しているようで、実は異なるニュアンスを持つ言葉です。
「杜撰」は、物事をいい加減に扱ってしまい、その結果として誤りやミスが多く発生する状態を表します。
一方で、「雑」は様々な要素がごちゃ混ぜになっており、整理されていない大雑把な状況を指します。
この言葉は、単純に事物が混在している様を表現し、必ずしも誤りやミスを含むわけではありません。
また、人間の特性を表す際に「雑な性格」という表現が使われることがありますが、「杜撰」は主に作業や物事の処理に関連する用語であり、人の性格を指して用いるのは適切ではありません。
「杜撰」を英語で表すと「faulty」
「faulty」の定義は、以下のような特徴を持つことを指します：不完全であり、欠陥が存在し、間違いが含まれており、批判されるべきで、悪い影響を及ぼす可能性がある。
引用元: weblio英和辞典・和英辞典
英語で「faulty」という言葉は、主に次のような属性を示します：
– 欠陥があること
– 完成度が低いこと
– 誤りが含まれていること
– 非難されるべき状態であること
– 悪い影響を与えること
「杜撰」の対義語「入念」とは
「杜撰」の対義語として挙げられるのが「入念」です。
入念の定義:
細部に至るまで丁寧に行われ、手を抜かない状態や行動を指します。
引用元: goo辞書
「入念」は、事の細かいところまで注意を払い、慎重に処理された行為や状態を示します。
これは、細やかな配慮が感じられる用法です。
B男
「提出前には文書を入念にチェックする必要がある。」
「杜撰」が雑で誤りの多い扱いを指すのに対し、「入念」は細部にわたって慎重かつ丁寧な処理を意味します。
